■ウィリアム・J・シモンズ牧師  アメリカ南北戦争直後の1866年、南部諸州の敗北により  黒人の市民権が認められ旧白人指導者が選挙権を奪われると、  こうした動きに反発した南部の旧軍人の一部は、  失われた白人優位の伝統を回復すべく、テネシー州ナッシュヴィルにおいて  「見えざる南部帝国」と称する黒人排斥の秘密結社を組織した。  これが一般にKKK(クー・クラックス・クラン)として知られる団体の初めである。  初めの頃こそ無邪気な手品や仮装行列で  迷信深い黒人たちを驚かせていたに過ぎない団体であったが、  じきにそれが残忍なリンチや殺人、放火、略奪などに発展し  ついには連邦政府の査問により1871年、同団体解散の法案が可決された。  しかし実の所、この団体が解散に踏み切ったのは、  一つには社会情勢の変化にもよるといわれる。  南北戦争から数年後、連邦政府の旧南部指導者層に対する妥協が目立ち始め、  黒人の参政権は再び奪われていたからである……  1901年、アトランタの青年ウィリアム・ジョセフ・シモンズは  ある夜、白装束で馬にまたがる幽霊のような戦士たちの夢を見、KKKの再建を神に誓った。  このシモンズが1915年、アトランタにおいて白人種優越思想のために旗揚げしたのが、  現在のKKK、謂わば「ネオ・クラン」である。  南部では人種分離法が制定され、既に黒人政治活動は全面的に禁止されていた状況下で生まれたそれは、  初めから狂信的民族主義、全体主義的イデオロギーの為の結社であった。  黒人排斥ばかりでなく、ユダヤ人、カトリック、社会主義者、  あらゆる外国勢力の排斥をその目的とする右翼団体であったのだ。  クランの思想は当時のアメリカ中産階級の偏見に媚びるところがあり、クランは発足から数年のうちに爆発的に発展し、  結社の金庫には莫大な金が転がり込むようになった(主な収入は入会金とコスチュームの売上、その他怪しい経路の金などである)。  しかし、暴力行為や不正利得問題、指導者層の権力抗争などにより、やがてクランの勢力は先細りになってゆく。  ニューヨーク州では1928年、秘密結社禁止法が通り、  1930年代以後、クランはだんだんと人々の口には上らなくなるが――  それでもクランの火は完全に消え失せたというわけではない。 ・性格  普段、というよりも親しいものの前ではいかにも南部の田舎のおっちゃんという感じのうざいが愛嬌もある中年男だが、  その実体は狂的な人種差別主義者で、俗に言う北方人種(北欧系、及びゲルマン系白人種)至上主義に凝り固まっており、  白人種であってもヒスパニッシュやラテン人種などは下等人種、黒人や黄色人種は動物と同じである。  その上下等生物でもメスなら右手の代わりになるだけまあまだましだなどと言ってのける最低の男。  しかしこれだけ下劣で野卑な男でありながら、その狂熱的な弁舌には精神を鼓舞しその気に乗せてしまう  不思議な熱気があり、同種の傾向を秘めた相手には時に素晴らしく魅力的にも見えてしまうらしい。  権力や金に対する執着も凄まじく、生前は組織の力を活用して多数の政治家から賄賂を巻き上げていた  (金で推薦状を売っていた)。 ・方針(聖板戦争での立ち回り方) 弱いものから積極的に狩りたてて星を稼ぐ方針。  弱いものはカンタンに倒せる上にいたぶることで更に楽しめる。  そいつが女性ならば余計なお楽しみもたっぷりで言うことなしである。  勿論有色人種を見かければこれも積極的に『懲罰』を加えようと発奮する。 ・戦闘スタイル(強み・弱点含む) 基本は巨大な体躯を生かした単純なパワー攻撃。  魔法的な力は無いに等しいが、既に人間離れしたその巨躯を活かし、  建設中のビルの鉄骨を引き抜いて振り回す、手近に停めてあった自動車を投げつけるなどの豪快な攻撃を行う。  しかしバカ正直なパワー攻撃だけの男ではなく、より恐怖と苦痛を与えんが為、  様々な手段を用いて執拗に相手をいたぶり苦しめようとする。  そして無力化した相手はゆっくりと苦痛に満ちた方法で「処刑」する。  例として、彼の「結社」の行った有名なリンチの方法を挙げる。  焼印を捺す。  両手を切断する。  木から吊るして焼く。  首輪のようにタイヤを固定して、それに火をつける。  熔けるほど熱したタールを全身に塗り、その上から羽毛で包んで小突き回す(場合によってはその上から更に火をかける)。  縛り上げて列車に轢かせる。    またサーヴァントとなった彼の能力の特徴として「自分の恐怖が知れ渡ることによって更に強くなる」というものがあり、  勝利を重ね、有利になるほどますます有利になり、相手には不利がつくと言った特性があるため、  初めは凡庸でも生き残っていくことで恐ろしく強大な存在にもなりうるかもしれない。 ・戦闘時相性の悪い相手・良い相手 重量級パワーキャラの宿命として「当たれば酷いが、当てるのは難しい」性質のため、  普通に立ち回りを考えた場合、基本的に誰と当たっても辛い戦いであるように見えるかもしれない。  しかしながら、火力の高さと能力の特殊な性質ゆえに、一度捕まえれば一気に形成を盛り返して  なぶり殺しに出来る可能性もあるため、いわゆる「荒らしキャラ」、「実戦値が高いタイプ」と言える。 ・性格的に相性の悪い相手・よい相手  そんなものがいればの話だが、白人至上主義で黒人嫌いであれば話は弾む。  黒人でなくても有色人種であれば基本的に駄目である。  意外と思うか妥当と思うかというところだが、ナチズムとは相性が良い。  民族主義的な部分や敵がある程度共通しているというだけではなく、  その芝居がかった外連味を好む劇場趣味や神秘趣味など、多くの共通項が見られる。 ・最後のサーヴァント自身から一言! 「跪かんか〜醜くみすぼらしい軟弱なる色つきどもが〜!  たわけた身の程知らずどもめ、このわしが躾を与えてやるわ〜!!」