■ルドルフ・シュタイナー ・人物概要  シュタイナーの霊的洞察力の前にあっては、何事も隠しおおせるものではない。  彼とその入門者たちは、我が「トゥーレ協会」の性質に異を唱え、  我らの会合や入門儀式の全てを霊的地点から監視している  ――ディートリッヒ・エッカルト――  ・  ・  ・  シュヴァイツァー博士や心理学者のユング、画家のモンドリアン、小説家のカフカ、エンデ、  或いは前田日明や雁屋哲などといった様々な知識人が賛仰する二十世紀前半における最も偉大な神秘哲学者の1人。  ゲーテやニーチェの全集編集者としても有名であり、日本では教育学の方面で知名度がある。  旧オーストリア・ハンガリー帝国の小都会クラリエヴォで鉄道官吏の息子として生まれた彼は、  幼い頃から物質世界を超えた超感覚的(霊的)世界を知覚する幻視者であった。  やがてウィーンの工業大学に在学中、ゲーテの著作に親しむようになり、やがて光学、天文学、植物学等々を学ぶうち、  自然科学者としてのゲーテを発見する。  そしてその文学の中に、精神を無視する近代自然科学の方法ではなく、自然と精神を結びつけ、  「生きた」世界を探索する方法の可能性を読み取ったのである。  1900年代以後、彼は神智学に興味を持ち、ドイツの神智学協会に加入して、そこで次第に重要な地位を占めるようになる。  「アカシャ年代記」の執筆はこの頃である。  しかしあまりに東洋・インド的色彩の濃い神智学から彼は徐々に遠ざかり始め、むしろキリスト教の秘境的傾向に目を向けるようになる。  特に彼は、神智学協会がクリシュナムルティという若いインド人少年を将来のメシアとして担ぎ上げていたことに反対であった。  そして1913年、彼は自ら提唱する人智学協会を立ち上げる。  同年、彼はスイスのドルナッハに、人智学運動のための理想的殿堂ゲーテヌアムの建設を始める。  これは全館木造で、細部に至るまで彼自身の設計に基いたものであり、完成したのは1920年である。  このゲーテヌアムで彼は一種の神秘劇を上演したり、殆ど毎日、新しいテーマを取り上げて講義を行ったりした。  人間の感性を開発し覚醒させることをテーマとする人智学にとり、芸術的活動は大きな要素であった。  彼には独特のカリスマ性があり、ゲーテヌアムの周囲には熱心な弟子が集まり、人智学運動はヨーロッパ中に広まっていく。  しかし、当然ながら敵対するものも現れる。  中でもナチスはシュタイナーと人智学協会を執拗に警戒し敵視していた。  シュタイナーの持つカリスマ性が皮肉なことにヒトラーの持つそれと共通するものがあるとみなされたのか、  ヒトラーはシュタイナーの存在を共産党やユダヤ人以上に危険視するようになる。  1920年代の初期ナチスにとって、シュタイナーこそが「抹殺すべき最大の敵」であった。  1922年、先の木造第一ゲーテヌアムは内部からの出火により消失した。  ナチ党員が放火したのではないかと言われている。  そこで今度は鉄筋コンクリートにより、第一ゲーテヌアムと全く同じ位置に、第二ゲーテヌアムの建設が計画された。  工事は1925年に着手されたが、シュタイナーはその完成を見ず、同年64歳で死去。  ゲーテヌアムにおける彼の講義は、弟子たちによって速記され、今日全集となって刊行されている。 ・性格  極めて温厚冷静で、激昂しない性格。  一人称は「私」、二人称は「君」、「君たち」がおおい。  あまり笑わない方なのでなんとなくカタい印象を受ける場合もあるが、  朴念仁というわけではなくちゃんと洒落は通じる。  魔術やオカルティズムを一種の哲学思想として捉え、全ての人間に潜在する高次の認識能力を開発し、  個人の能力開発とともに社会の進歩にも資する方法を提示するための学問体系として位置づけている。  そのため、関係する分野は教育、芸術に始まり医学、農業、建築など多岐にわたる。  魔術が単なる技術となり、個人的な欲望を充足する手段としてのみ捉えられる現状を憂えており、  恐らくは聖板戦争そのものも快くは思っていない。 ・方針(聖板戦争での立ち回り方)  勝利して聖板を得ることが目的ではなく、むしろ調停者のように振る舞い、  善なる者や弱者の救済、支援に積極的である。  基本的には参加者に欲望から争いあう不毛さを諭して戦争から「降りる」ことを勧めるが、  実力、人格ともに信頼のおける主従がいれば、彼らをサポートして勝利させ、  自分たちは最終局面に立ち会おうと考えているようである。 ・戦闘スタイル(強み・弱点含む)  肉体的には普通のじいさまで戦闘能力など無いので、基本的にはサーヴァントの戦闘力を当てにしており、  自分は滅多に魔法らしいものも使用する事はない。  しかしながら、その霊視力による運命予知の能力と、読心による相手の情報の掌握は言うまでもなくこの上ないサポートとなる。  また、稀に魔術を使用する場合、他の術者に見られるような系統分類には属さない、非常に不可思議な  独特の効果を発揮することが多い。 ・戦闘時相性の悪い相手・良い相手  予知と読心の能力が特殊かつ未知数過ぎ、且つその他の魔術も不可解なものが多いため相性を測りにくい。  ただ、先にも書いたように肉体的にはただの人間の老人であるため、戦闘能力自体は低いと言わざるを得ない。 ・性格的に相性の悪い相手・よい相手  性格というよりも因縁という問題で、ナチス関係者とは相性が非常に悪い。  元々シュタイナーがリベラリスト寄りであり、ナチスの国家主義及び民族主義に批判的だったことに加え、  ある意味ヒトラーにも共通した特殊なカリスマ性の持ち主であったこともあって、  1920年代の初期ナチスにとってはシュタイナーと人智学協会が「抹殺すべき最大の敵」であったという。  ついでに言えば、音楽でもシュタイナーはアンチ・ワーグナーであった。  特にナチスのオカルト部門の重鎮、トゥーレ・グループのエッカルトなどは、遺言でまで  シュタイナーへの攻撃を指示していたと言われる。 ・最後にマスター自身から一言! 「『賢者とは“ブラフマン(世界の最高原理)”と“アートマン(超越的自我)”の本質が“純粋意識”であることを理解し、  両者の絶対的な同一性を実感している者のことである。  純粋にして絶対、且つ永遠なる“実在”――それこそが“ブラフマン”なのであり、まさしく……  “汝が、それなのだ”』」(8世紀の哲学者 シャンカラの論文詩よりの引用) 「霊的能力は特別な人間だけが持つ特殊な力などではない。それは誰にも備わっていて、呼び覚ますことが出来るのだ。  そして人間を高次の存在に押し上げるのはマスターや天使の様な超越的存在の導きではなく――  我々人間の主体的な努力によるのです」